リアリティショック

人事の図書館 編集長 大西直樹

「リアリティショック(reality shock)」とは、その名の通り「現実に直面した際のショック」を意味しており、とくに新しい環境に身を置いた際に「実際の状況が思い描いていたものと違った」と感じた際のギャップに思い悩むことを指す言葉です。「リアリティショックはゆとり世代特有の問題である」と考える人も多いですが、この概念自体は半世紀以上も前に、米国の組織心理学者E.C.ヒューズによって提唱されており、時代を問わず、大きな理想を抱いて入社する新入社員の誰もが経験する可能性のある問題であると言えます。 またリアリティショックは新入社員だけでなく、ベテラン社員にも起こり得るとされています。例えば昇進によって管理職に就任してから、イメージしていた仕事や立場でないことが原因で、リアリティショックが起こるケースがあります。また、育休復帰をしたものの、想像していた状況とは異なるため、リアリティショックを経験することもあります。リアリティショックが起きると、喪失感や将来への不安を感じるようになり、受ける衝撃の大きさによってはやる気を全く失い、最悪の場合、離職へとつながっていくことになります。

 

早期退職とリアリティショックの関連性。

 

では実際に、早期離職とリアリティショックはどのくらい関連しているのでしょうか。「独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)」では、初めての正社員勤務からの離職者に対し、退職の理由について調査を行い、在職期間ごとに項目を整理した形で結果を発表しています。この調査において、離職までの期間が短いほど割合が多い理由としては、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」「人間関係がよくなかった」「自分がやりたい仕事とは異なる内容だった」「仕事がうまくできず自信を失った」といった内容が挙げられています。上記のような「労働条件」「人間関係」「業務内容」「仕事への自信」といった理由は、いずれも「期待と現実のギャップ」との関連性が高い項目であり、早期離職とリアリティショックが密接に関わっていることを示していると言えます。

 

 

※独立行政法人労働政策研究・研修機構「若年者の離職状況と離職後のキャリア形成Ⅱ(第2回若者の能力開発と職場への定着に関する調査 ヒアリング調査)


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