博士人材が社会で活躍するために

大阪府立大学 高等教育推進機構 高度人材育成センター 副学長・センター長 松井利之さん/統括コーディネーター 浜田正隆さん

工学研究者から、キャリア支援の道へ。

――松井さんはもともと、工学研究者としてご活躍されていたのですね。

 

松井:私はここ大阪府立大学(以下:府大)の卒業生で、金属工学を専攻していました。修士の学位を取得後、そのまま本学で助手をしながら材料物性分野の研究を続け、工学研究科の講師・助教授として教育研究活動をしてきました。2008年に、当時の大学執行部の先生方から、「文部科学省の若手人材育成に関する事業に採択されることになったが、責任者を務めてもらえないか?」と打診されたのです。それまでは私自身、研究者として職務を全うするものとばかり考えていたので、まさか自身がキャリア教育に携わるなんて思いもしませんでしたが、当時の学長・副学長の先生からの依頼とあらばと、一念発起して「やってみます」と答えたのがきっかけで、かれこれ13年間ずっとこの事業に携わり続けています。

 

――今では副学長、そしてセンター長として、キャリア教育を推進されているのですね。

 

松井:専門の教育を受けたわけでもないんですけどね(笑)。理系学生の多くは大学院に進学するのですが、その先の博士課程に進むのは少数派です。ですがその少数派の彼らですら、昨今は研究者としてのキャリアを歩めるのは一握りの方に限られ、多くの学生がアカデミアの道を志しているにもかかわらず、安定したポストにつくことができない、いわゆる博士人材のキャリア問題に社会の注目が集まったのが、この2008年頃だったのです。一方、大学の研究力という点からみれば、修士修了で就職する学生ばかりでは、高度な研究を担う博士人材を確保できないことになり、大学、ひいては日本の科学技術力の低下につながってしまいます。

こうした課題に対して国としても状況を変えなければいけないということになり、文部科学省がこの時期の前後に「イノベーション創出若手研究人材養成」というプロジェクト等を開始しはじめました。それに我々も応募し、幸運にもいくつかのプログラムに採択いただきました。そうして現在の高度人材育成センターの前身となる産学協同高度人材育成センターを立ち上げ、本格的に大学院生のキャリア教育に力を入れ始めたのです。

 

――今では、様々なカリキュラムを提供されているのですね。

 

松井:すべては紹介しきれないのですが、一貫して博士に進学した学生の選択肢を増やし、自身でキャリアを切り拓いていける人材に育ってほしいと考え、本学だけでなく国内外の他大学や民間企業とも様々な連携をしながら、カリキュラムを提供しています。後ほどご紹介いたしますが、今回同席いただいている浜田さんも元々は民間企業で活躍されてきた方です。そういった方々にご協力いただきながら、カリキュラムとして全体設計をするのが私の主なミッションです。

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