日本の雇用と労働法

著者:濱口桂一郎

昨今話題の「日本型雇用システム」の見直し

 

昨今の雇用を取り巻く情勢で、「新卒一括採用の見直し」が進められています。2018年には経団連主導による就活ルールの廃止(当面は政府主導でそのルールは残存)が、昨年には経団連が通年採用へ移行する方向で大学と合意したことが話題となりました。また、NECや富士通等、国内を代表する大手企業が、突出した優秀な実績を残した学生に初年度から年収1,000万円超を支給するといった大胆な賃金制度を発表したことは社会に反響を呼びました。

 

日本型雇用システムの本質は、「職務の定めのない雇用契約」という点にあります。これは、雇用契約を結ぶ段階で具体的にどの職務に従事させるか明確化させず、従業員には企業内で行われるすべての労働に従事する義務があり、使用者はそれを要求する権利があります。こういった日本型雇用システムは、長期雇用慣行、年功賃金制度及び企業別組合に特徴があり、とある職務に必要な人員が過不足に陥った際も、別の職務に従事していた従業員を異動するという形で雇用契約を維持することが一般的です。

 

一方、諸外国では、それぞれの職務に合った人材を雇用し、その定められた労働に従事させることが一般的です。具体的な職務を特定して雇用契約を締結するので、その職務に必要な人材が不足した場合は社内での異動ではなく新たな人材を採用することになりますし、逆に多くなった場合は余剰人材の雇用契約を解除する必要が出てきます。どちらがいいとは一概に言えませんが、昨今では日本型雇用システムともいえる「新卒一括採用」「メンバーシップ型雇用」が見直され、「通年採用」「ジョブ型雇用」へのシフトが進んでいます。

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