特集
2020.10.26
20代の就職・転職を考える 13
誰もが社会復帰しやすい社会を目指して。
NPO法人 社会復帰支援 アウトリーチ 代表理事 林日奈さん

NPO法人 社会復帰支援 アウトリーチ
代表理事の林さんの息子が「引きこもり」になったことをきっかけに、社会復帰の支援を始めた同法人。社会復帰しやすい社会をめざして、引きこもりやうつ等によって、社会と交流を持てずにいる若者と社会との接点を作り、当事者の社会参加・自立に寄与するとともに、社会的孤立、排除のない支援体制の確立に向けた「協働型」「創造型」の取組みを推進している。現在は3名体制で支援にあたっている。
息子が「引きこもり」になったのが活動の原点。
――早速ですが、法人立ち上げに至るまでのきっかけを教えてください。
アウトリーチを2016年に設立するまでは、全く違うキャリアを歩んでおりました。とあるコールセンターでオペレーターの指導に従事していたのですが、当時指導方法として「コーチング」が流行っていたこともあり、資格を取得してインストラクターとしても活動しておりました。そのスキルを活かしてフリーランスになり、個人事業主や中小企業に対するコーチングや事業コンサルティングを行ってきました。その頃、息子がうつになり自宅に引きこもるようになりました。本人は社会復帰したいという思いが強かったのですが、なかなかうまくいかず、引きこもりを繰り返すようになりました。
――本人のなかで引きこもり状態が当たり前になってしまったのでしょうか。
3回目の引きこもり状態となったときはさすがに本人も堪えられなかったようで、これまでのようなメンタルケアや励ましだけでは社会復帰できない日々が続きました。私自身も何とかしなければと様々な機会を提案したり、外部の引きこもり支援団体を紹介したりしていたのですが、ふとしたときに無理やり外出させるのはハードルが高いので、自宅で自身の裁量でできることなら取り組めるようになるのではないかと思い、お付き合いのあった知り合いの社長にお願いして在宅でできる仕事を紹介してもらいました。その結果、少しずつ自信を取り戻した息子は無事社会復帰することができました。この経験を通して、同じやり方で私たち家族だけでなく同じように「引きこもり」となっている方を救うことができるのではないかと考え、アウトリーチとしての活動を始めました。
――では、多くの支援団体との違いを教えてください。
多くの引きこもり支援団体では、相談から就職支援までのハードルが高く設計されています。人づきあいが苦手な方や外出することに壁を感じている方にとって、通所での就職支援が大変ハードルが高いことは容易に想像がつくことではないでしょうか。特に若い方、20代で相談に来る方は、社会のことも自分のこともよく知らないままなんとなく就労支援を受け、途中で挫折してしまうことも少なくありません。そういった方たちの社会復帰の支援をできればと考えています。
