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2020.09.23
HR関連書籍のご紹介 13
採用100年史から読む 人材業界の未来シナリオ
著者:黒田真行、佐藤雄佑

著者:黒田真行、佐藤雄佑
黒田真行:1988年リクルート入社。「B-ing」「とらばーゆ」「フロム・エー」関西版編集長、「リクナビNEXT」編集長等を経て、2014年にルーセントドアーズ株式会社を設立。ミドル世代向け転職支援サービス「Career Release40」、転職を前提としない中高年のキャリア相談プラットフォーム「CanWill」を運営。
佐藤雄佑:新卒でマーケティングの仕事に従事し、「やっぱり最後は人」と思いリクルートエイブリック(現:リクルートキャリア)に転職。リクルートホールディング体制構築時には人事GMとして、同社の文社・統合のプロジェクトを推進。2016年に株式会社ミライフを設立し、「未来志向型キャリアデザインエージェント」として活動。
人材業界の歴史から、人と仕事の関係を知る。
人材業界はこれまでどういった歴史をたどり、今後どうなるのか、どうなるべきなのか。
産業革命以降、機械や電気を中心としたモノづくりが主役だった“工業化社会”によって高度経済成長を成し遂げた日本。従業員には専門知識や技術・スキルの習熟が求められ、企業が人材を長期雇用することが生産性の向上と密接に紐づいていました。そのため、企業にとって、従業員を長期間安定して雇用できる「正社員雇用」を前提に労働力を確保することがスタンダードになりました。そのころ、終身雇用と年功序列を前提とした制度が一気に広がり、「新卒で入社したら定年まで勤め上げるのが当たり前。途中でケツを割って逃げ出すのは負け犬だ」という価値観が一般化し、そういった状況が転職=中途採用の市場そのものを後ろめたいものにしていた側面がありました。
しかし、1995年前後を境に、インターネットや携帯電話の普及が加速し、“情報化社会”、そして“ネットワーク化社会”へと移行していくなか、雇用市場で求められる経験やスキルも急速に変化することになりました。いまや、転職をすることは当たり前どころか、適正なキャリア構築のための不可欠な手段とすら考えられるようになっています。そして、今では転職を考える方々から、「転職時に手段が多すぎ、情報が多すぎて選べない」「複数の転職エージェントに相談したが、アドバイス内容が人によって違いすぎてどの意見を信用すればいいのか」といった声が年々増加するような状況になっています。
本書は「職業選択の広がりと採用ビジネスの100年」「100年前の希望職業調査」「リクルーティングビジネスにおけるビジネスモデルの歴史的変遷」等といった人材採用の歴史を詳しく著したはじめての1冊といえます。いつの時代でも人と仕事の関係は切り離せず、人材ビジネス発展の歴史はその関係の歴史ともいえます。人と仕事がこれまでどういった関係を持ってきたかを考えることは、人の採用・キャリアに携わる企業担当者・大学担当者の皆さんにとっても有益な示唆をもたらしてくれるでしょう。
本稿では、本書でも触れられている「人事採用部門は変化にどう対応すべきか」の一部内容を抜粋し、ご紹介いたします。