特集
2020.06.22
キャリアセンター訪問 12
誰一人取り残さないフォロー体制で、就職率2位を実現。
国立大学法人 滋賀大学 経済学部 特任准教授 入江 直樹さん

国立大学法人 滋賀大学
約140年前に設置された滋賀県師範学校と、約100年前に設置された彦根高等商業学校をルーツにし、1949年に開学した滋賀大学。長きにわたり経済学部と教育学部(開学当時は学芸学部)の2学部から滋賀のみならず全国に優秀な人材を輩出、また2017年にデータサイエンスに焦点を合わせた日本初の本格的な学部を設置し、文理融合大学として変革と遂げています。今回は同校の卒業生であり、民間企業から出向し、経済学部で教鞭を振るいつつ、経済学部・データサイエンス学部キャンパスの就職支援室で学生の就活サポートを行っていらっしゃる入江准教授に、地方国立大学ならではの就活支援のあり方について、お話をお聞きしました。
全員が社会に出るチャンスをつかめるよう、徹底的にフォロー。
――入江先生も滋賀大学経済学部のご出身ですが、教育方針や校風についてお教えください。
本学がございます滋賀県はかつて近江と呼ばれ、京都に隣接する要所とされており、なかでも彦根は日本の近世を代表する城郭都市として大きな発展を遂げてきました。そんな歴史ある彦根の地に1922年に開学した彦根高等商業学校は「士魂商才」を建学の精神として掲げていました。これは彦根藩主だった井伊直弼の武家の教養と、広く社会一般の利益を追求した近江商人の精神にあやかる理想を体現したもので、現在にも経済学部の学部理念として受け継がれています。
本学の校風はとにかく真面目で、しっかりと勉強している学生が多いですね。また部活動が盛んで、約9割の学生が大学の課外活動に参加しており、4割が体育会に所属しています。そうしたことから団結心や愛校心、組織への忠誠心が強い学生が多いと思います。その影響でしょうか、「番頭さん養成学校」と呼ばれており、卒業生に社長は少ないが、役員になっている方は多い、といった傾向がありますね。
――では貴校のキャリア・就職支援の方針についてお教えください。
本学では「Leave no one behind(誰一人取り残さない)」を何より大切にしており、就職率にはかなりこだわって就職支援を行っています。2-6-2の法則とよく言われますが、上の2割に対してはあまり関わらない反面、下の2割に対して徹底的にフォローし、全員が社会に出るチャンスがつかめるようにすることで、全体の底上げを図ることを心掛けています。
――そうしたご努力が、国立大学経済学部で就職率2位(2017年度)という素晴らしい実績につながっているんですね。
彦根キャンパスでは例年、経済学部・データサイエンス学部で約500名が就職を希望し、活動をするのですが、12月頃に進路調査をすると、まだ進路を決められていない学生が毎年20名程度出てきます。この20名をどうするか、が私の本当の仕事になりますので、1人1人話をして、最後の最後まで追いかけていく作業を行います。私の経験で一番遅かったのは、3月24日にようやく捕まえた学生の入社先を、3月30日に決めたことがあります。彼女は今ではエース格の営業として活躍してくれており、社内外で「1週間で就職が決まったヤツ」として話題になっているそうです(笑)。