特集
2020.05.25
20代の就職・転職を考える 09
全力で打ち込むことで見えてくることがある。
学生団体GEIL 代表 渡邉俊介さん

学生団体GEIL
1998年の設立以降、一貫して『学生のための政策立案コンテスト』の運営と、「社会問題についての研究」を続けてきた学生団体GEIL。特筆すべき点として、任期は1年半と数ある学生団体の中でも短く、そのほとんどが大学1年生で入会し、2年の夏には団体を巣立ちます。今代表を務めている渡邉さんも、この春から新2回生。そんな渡邉さんにお話をお伺いし、その活動や、自身・メンバーのキャリア観に迫りました。
主体的に問題解決に取り組める人材の輩出を目指して
――「政策」に取り組む学生団体は、全国でも珍しい存在かと思います。
確かにそうかもしれません。しかし、そもそも政策とはなにかということを考えると、私たちの生活や公共の福祉等、様々な社会問題を解決していくために必要不可欠で、それらをもっと身近にとらえ、優秀、あるいは多様な人材が関わっていかなくてはなりません。とはいえ、残念なことに、優秀な人材であっても、自身が政策に意欲的に関わっていこうと考える学生は少ないのが現実です。また、政治といえば、官僚腐敗や、それに基づいた政治不信等といったネガティブなイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。本来政治・政策はもっと国民に身近であるべきで、そういった現状や、若者の政治意識の低下を改善するために、『政策立案コンテスト』を開催したのが、GEILの成り立ちです。活動を通じて、政策立案そのものを体験できたり、そういった場を全国の学生に提供する経験、また実際に様々な社会問題に取り組んでいる官僚・専門家にお話を聞ける機会等、濃密な経験を積むことができます。
――どのような思いで活動に取り組んでいますか。
私たちの代は、「問題解決の主体性とアドボカシー意識の養成」といったコンセプトで取り組んでいます。私たちが目指すことは、将来自身の周りで起こっている社会問題について問題意識・関心を持ち、その解決に向けて積極的に取り組める人材を輩出することです。そのために、コンテストに参加していただく方たちには、まず私たちが扱っている社会問題について知っていただき、密度の濃い政策立案の体験を積んでいただけるよう心がけています。
世の中には様々な社会問題がありますが、それらの問題を解決するためには、どのように分析して、どういった方法で解決に向かうのかを知らなければなりません。私自身も活動を通じて気づいたことですが、政策立案のコンテストなので、官僚として問題を解決することに意識が向きがちですが、実際には企業やNPOの目線といった、様々なアクターからの目線で問題に向き合わなければなりません。そういった視点をコンテストの参加者の皆さんに提供することで、将来解決したい問題が出てきたときに応用でき、主体的に問題解決に取り組める人材になれると考えています。
後半のアドボカシーは「支持・反対などの形で、政治的、経済的、社会的なシステムや制度における決定に影響を与える」という意で用いられる言葉です。もし、自分自身が問題解決のために動けなかったとしても、無関心になるのではなく、問題意識を持ち続けて、行動している方を応援することであったり、その方たちに意見を発信することも大切だと考えています。参加いただく方がコンテストに取り組む中で、一つの問題を多面的な視点から分析する経験を通じて、これまで気づかなかった観点からの問題意識や、新たな興味・好奇心が湧くきっかけになればと思います。